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■玉子屋事件(東京高裁H16.11.29 平成16(行ケ)286号)

●事件の概要
 被告は、「卵のカラを割ったヒヨコ」の図形の下に「玉子屋」の文字を配した構成よりなり,第30類「玉子料理を含む弁当,宅配用弁当,コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,あん入り中華まんじゅう,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」及び第42類の役務(省略)を指定商品・指定サービスとする商標(以下、「本件商標」という。)の商標権者である。
 原告は、本件商標に対して、先登録されている商標「タマゴヤ」(指定商品:調味料,香辛料,食用油脂,乳製品)(以下「引用1商標」という。),商標「たまご屋さんのカステラ」(指定商品:カステラ)(以下「引用2商標」という。),商標「たまご屋さんの焼きプリン」(指定商品:焼きプリン)(以下「引用3商標」という。)に類似するという理由で、指定商品「調味料,香辛料,菓子及びパン」について商標登録無効審判を請求した。
特許庁は、本件商標と対比して、引用1商標は類似するとして、「調味料,香辛料」について登録を無効にしたが、引用2商標および引用3商標は「菓子及びパン」に類似する商品に関するものであるがこれらの商標とは類似しないとして、審判請求不成立の審決をした。
 そこで、原告が審決の取り消しを求めて提訴した事件。請求は棄却された。
●裁判所の判断
(本件商標について)
 本件商標は,「卵のカラを割ったヒヨコ」の図形と,その下のやや右寄り位置に,小さめの「玉子屋」の筆文字を配してなる構成であり,その図形と文字とが分離して認識することが不可能なほどに一体的に結合しているものとは認められないから,本件商標からは,その構成中の図形部分と文字部分にそれぞれ対応して,「卵のカラを割ったヒヨコ」の観念と,「玉子(たまご)屋」の観念及び「タマゴヤ」の称呼が生じるものと認められる。

(引用2商標について)
「たまご屋」という語自体,屋号ないし特定の商品主体を示すというよりは,卵(玉子)の生産者ないし卵を商品として扱う業者を一般的に意味して用いられる語としての性質の強いものである上,「たまご屋」に「さん」が付けられた場合には,「さかな屋さん」,「ぎゅうにゅう屋さん」などと同様に,卵,魚,牛乳などの商品を生産し又は取り扱う業種を指す一般語という意味合いが一層強まるということができる。加えて,「たまご屋さん」の語が「カステラ」の語と組み合わされて一連に表記され,その文脈において「たまご屋さんのカステラ」という一つのまとまった意味を形成しているから,そこに存在する「たまご屋さん」の文字が想起させるのは,屋号等としての「たまご屋」ではなく,カステラに使用される卵の生産者又は販売者という意味での「たまご屋」(卵屋)であるというべきである。
したがって,引用2商標に存在する「たまご屋」の文字から,「卵屋(玉子屋)印」の観念及び「タマゴヤ」の称呼が生じ,これらの観念及び称呼によって自他商品が識別されるとする原告の主張は,採用することができない。

(引用3商標について)
 引用2商標について認定したのと同様の理由により,「たまご屋」の文字部分は,自他商品識別力のある部分ではないというべきである。そうすると,引用3商標からは,原告の主張するような「卵屋(玉子屋)印」の観念や,「タマゴヤ」のみの称呼は生じないと解することが相当である。

 以上の検討に基づいて,本件商用と引用2商標及び引用3商標を対比すると,本件商標と引用2商標及び引用3商標とは,外観において顕著に相違することが明らかである。また,本件商標からは,「玉子屋(たまご屋)」の観念及び「タマゴヤ」の称呼が生じ得るのに対し,引用2商標及び引用3商標からは,原告の主張するような「卵屋(玉子屋)印」の観念及び「タマゴヤ」の称呼は生じないと認められるから,本件商標と引用2商標及び引用3商標とは,観念及び称呼において,非類似というべきである。

 そうすると,本件商標は,引用2商標及び引用3商標のいずれとも非類似の商標というべきであり,これと同旨の審決の判断に誤りはない。

本願商標



 コメント
 屋号として認識が可能な表示であっても、結合される語との関係で商品の内容を表す語として認識され自他商品識別力がないとされた事案です。
 本件の場合、「たまご屋」のあとにつけられた「さん」は敬称・愛称であって、普通は自己の屋号に付して使用されるものではないから、その商品等の需要者にとっては、特定の営業主体を表すものというよりも、一般化された「生産者又は販売者」としの意味合いが強くなると考えられる。